登れば身体が感じてくれる!初心者でも楽しめるボルダリング
滋賀のさまざまなスポーツシーンを紹介する「しがスポーツSTORY」。
第一回目は、2020年東京オリンピックの正式種目に選ばれたスポーツクライミングのひとつである「ボルダリング」をご紹介します!
一体どんなスポーツなのか?注目している方も多いのではないでしょうか。
とは言え「ボルダリングってなんだか難しそう」「体を鍛えた、力のある人しか無理なんじゃない?」そう思っている人も少なくないはず。
そこで今回は彦根市にあるボルダリング施設「グッぼる」にお邪魔してクライミングコンサルタント由井さんご指導のもと初心者がどこまで楽しめるのか体験してみました!
スポーツ音痴でもできる!?「ボルダリング」は誰でも気軽に始められるスポーツ
とにもかくにも実際にやってみるのが一番!ということで、ボルダリング初心者ながら「スポーツはなんでもやってみたい!」というアクティブな女の子、友梨佳さん(写真・真ん中)と真希さん(写真・左)が由井さんにボルダリングの基本動作(ムーブ)を教えてもらいながら体験開始。「ひじは曲げずに、耳より常にあげておくことを意識して」。
ルールは壁につけられた大小の突起物(ホールド)を使って登っていくだけですが、これがなかなか難しい。課題と呼ばれるルートがいくつも存在し、それぞれにゴールが設定されています。ホールド横にある色や数字を目印にして、同じ種類のものだけを使って登っていきます。
「ボルダリングは体を使ったパズル。まずは課題を覚えて体をどう動かしていくか考えて」と由井さん。登りながらホールドを探ると疲れてしまうので、登る前にホールドの位置や手足の運び方を確認しておくほうがいいそうです。
サルのポーズができると、上達も早い?!
「使わない手は心臓より下にして、足を後ろにふってその反動で一気に登る。サルの動きをイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません」。この姿、たしかにサルのポーズと似ています。動物の本能的な部分を使うスポーツなのかもしれませんね。
「腕の筋力で登ると思われがちだけど、ほんとはできるだけ筋力を使わないようにするのが理想。そうしないと長くは登れないからね」。初心者は壁から離れないように腕を曲げてしまうことが多いのですが、それだと力の消耗が激しく、1時間もすれば腕がパンパンになってしまうそうです。
それを予防するためにはできるだけ腕を伸ばすことが大切に。「重い買い物袋を持っている」と想像すればわかりやすいのではないでしょうか?肘を曲げて持つよりも、伸ばして持ったほうが断然ラクですよね!
そもそも「ボルダリング」とは、自然の岩場を登るフリークライミングの一種。現在では室内で気軽に始められるスポーツとして人気を集めています。壁が低くて室内で行うこともできるので、初心者にも向いていると言います。そんな説明をしながらスイスイと登っていく由井さん。
でも始める前に、ある程度の筋肉が必要なんじゃないですか?「実際は身体が軽いほど負荷が少なくすむので、子どもさんや年配の方でもできるんですよ。逆にスポーツ経験があった方のほうが、その筋肉に頼ろうとして無駄な力をつかってしまうなんてことも…。スポーツ音痴だと言っていた人のほうがスイスイと登っていたなんてこともよくあります」。
スポーツ音痴でもできる。とても心強い言葉じゃないですか!自分にもできる気がして早くやりたくなってきました。
自分の体に向き合いながら、ただゴールを目指す!
最初に挑戦するのは今回がボルダリング初体験の友梨佳ちゃん。スタート地点に両手と足をかけて、準備万端!のはずが・・・。いざやろうと思うと体をどう動かしていいのかわからなくなってしまいました。
「あぁ~」スタート地点から簡単に落ちてしまいました。「悔しいーーー!」でもすぐに次はどう動けばいいか考えが浮かんできて、再チャレンジしたくなります。「ハマるのがわかるかも!」
「次にどこに足を置けばいいか、重心はどうすればいいのか、細かい指示はださないようにしています。やっているうちに自然と体がわかるようになるんです」。
チャレンジするたびに、登りたい本能が目覚めてくる?!
そう言われて周りを見回してみると、小学生がスイスイと登っているではありませんか!「子どもは生まれつき登ることが好きだからね。全身を使って達成するボルダリングは子どもにぴったりなスポーツ。普段あまり激しい動きをしてない子どもでも楽しみながら上達でき、それが自信につながっていくようです」。
小学生にも触発されて、続いては真希ちゃんが一番簡単なコースにチャンレンジ!何度か失敗しながらも、だんだんとコツがつかめてきました。
ゴール!この達成感はやみつきになりそう。「ちょっと登っただけなのに、普段使ってない筋肉も全部使った感じがする!」と清々しい表情です。
「これから本格的に通ってみようかな」体験を終えた2人から、そんな会話が聞こえてきました。「しばらく筋肉痛かもしれませんが、ぜひ1週間以内にもう一度やってみてください。今日できなかったことが次はできるようになっているはず!最初の1~2か月は新しいことがどんどんできるようになり楽しいですよ」と由井さん。
次世代のクライマーも続々と成長中!
「グッぼる」では、さらに上を目指す人向けの講習会や次世代のクライマーを育てるユースチームのトレーニングも行われています。取材陣の目の前で素晴らしいパフォーマンスを見せてくれたのは2016ユース国内チャンピオンの亀山凌平君。
2020年の東京オリンピックでの活躍も期待されるホープです。遠征などがないときはお店のスタッフを兼ねながら、ジムでトレーニングに励んでいるので、トップレベルの技が目の前で見られるかもしれません。
登ることは身体の全身運動。引き締まったラインに変化
亀井君の技に見惚れている間、由井さんはトレーニング中。よく見ると小指一本でぶら下がっているではありませんか!
見てください、この盛り上がった筋肉を!由井さん、こう見えて53歳。とてもアラフィフとは思えません。「女性が気にしがちな下腹のポッコリにも効きますよ」と笑う由井さん。ダイエットのために!などの意気込みはなくても、全身運動になるので自然と体形は引き締まっていくそうです。
由井さんにとってボルダリングの魅力とは?
現在では、クライミングコンサルタントとして、各地のジムの設計や、ガイド本の出版などにも関わる由井さんですが、クライミングとの出会いは少年時代、意外にもボーイスカウトで登山に挑戦したことがきっかけでした。
「クライミングというと少し身構えてしまいますが、実は山登りの延長線上にあるスポーツなんです」と話す由井さん。その後、世界各地の岩場を訪れては挑戦を繰り返してきたと言います。
「僕の人生はクライミングありき!会社に勤めながら海外クライミング旅をしてきました。合間に現地企業で技術のヒントを学び、会社に持ち帰って実践する。そんな風に理由をこじつけてはクライミングに明け暮れる毎日でした」と笑いながら話してくれましたが、実際にそれを実践するのはそう簡単なことではありません。
由井さんのモットーは「仕事は20%の力でやる」。「効率よく働いて、自由な時間を作りだして遊ぶことで、また仕事の能率もあがる。今の日本では難しいかもしれませんが、仕事人にこそ体験してもらいたい
自分の体だけで挑戦するボルダリングは、健全な身体と創造性をもたらしてくれるスポーツですから」。
グッぼる ボルダリングCafeについて
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